アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第3部・第05話 市街地の共闘1〜
    ヘシュナの電気治療法こと強化法を身内全員に施した。彼女の力は他者の潜在能力を高める
   ようで、例外漏れず格段に力を増している。俺もその中の1人だが、それを用いてある事を
   試みた。ヘシュナの力で強化されている状態で、殺気と闘気の心当てを一同に放ったのだ。

    これも例外漏れず、該当者全員が気絶するという事態になった。ナツミツキ姉妹以前に、
   シルフィアやスミエですら気絶したのだ。相当な念波だったようである。これは先の料亭事変
   で連れ帰った4人の人工生命体に放ったものだ。それを一緒に受けるという事に至った訳だ。

    その後は言うまでもない。それぞれが持ち得ている能力が底上げされ、凄まじいまでの力を
   得るに至った。特に3大宇宙種族の力が凝縮されたペンダントを最大限活用できだしている。
   ミツキやヘシュナがルビナの超能力を意図も簡単に使えたりと言った具合だ。

    そもそも最初は俺の右肩と右腕の負傷の治療に用いたのが切っ掛けである。ルビナが繰り
   出す事ができる電撃をヘシュナが模写したものだ。そこに彼女の能力が重なり、治療的な力に
   なった訳である。それを数週間受けていた俺は、1日だけ受けた周りの面々を遥かに凌駕する
   力を得た感じになる。言わばこれは副産物であろう。

    その後が手前に挙げた流れである。料亭事変での流れで連れ帰った4人の人工生命体に、
   自我を持たせるにはと試みたのがこれであった。まあ俺達の方にも凄まじい恩恵を与える事に
   なったのが皮肉な話だが。

    ちなみにその事変の後日、ナツミツキ四天王とミュティ・シスターズにも施した。こちらも
   先の一同と同じく気絶する事態になったが、復活したら例外漏れず格段に覚醒した。やはり
   この7人全員が元から戦闘力が格段に強いため、直ぐにその力を開花した感じだろう。本当に
   怖ろしい強化法だわ・・・。



ミツキ「これ頼むわぅ。」
ティエラ「了解です。」
    厨房でお客さんのオーダーを完成させるミツキ。それをカウンターに置くと、ティエラが
   トレイに乗せてお客さんへと運んでいく。ほぼ修行を完成させたティエラとエシェムFは、
   今ではトラガンの女性陣に匹敵するような戦闘力を持つに至った。
ミスターT「ここに居て大丈夫かと心配になるが。」
エシェムF「大丈夫ですよ。バカ父達が軍勢を仕向けて来たら、全部撃退してやります。」
ミスターT「はぁ・・・そうですか。」
   出逢った頃の内気な彼女達は、今では見る影もないぐらいに明るく元気である。いや、本来は
   この様な姿だったとの事だ。優しい父親達に育てられたのがそれだと言う。しかしその後の
   流れで一変し、あの護衛事変となった訳である。
ミスターT「デュリシラ、様相はどうだ?」
デュリシラ「全く以て変化なし、大人しいものですよ。恐らく、貴方が本気で怒り攻めてくる部分を
      垣間見たからでしょう。加えて殺気と闘気の心当ても目の当たりにしていますし。」
ミスターT「あんなの全く以て本気じゃないんだがね・・・。」
   俺の言葉に周りの女性陣はウンウン頷いている。料亭事変では触り的な感じでの念波だが、
   その後の喫茶店での流れはそれ以上の様相だ。もれなく周り全員が気絶したのだから。恐怖と
   言うよりは、死そのものがそこにあると錯覚するようである。
デュリシラ「貴方の殺気と闘気の心当てには、そこに慈愛も癒しも全くありません。純粋無垢の恐怖
      と殺意と死というマイナス面の様相と。よく私達が貴方に殺気の目線をしますが、あの
      場合はそこに慈愛などがありますし。」
ミスターT「放ってる本人が言ってりゃ世話がないわ。」
デュリシラ「フフッ、本当ですよね。」
   あの強烈な念波を受けた面々は、凄まじいほどの据わりを見せてもいる。肝っ玉が据わった
   とも言えるだろう。微動だにしなくなったと言うのが実状か。本当に女性は強いわ・・・。

エシェムF「あの念波を受けて、正気を保てるのは変人ぐらいだと思われます。」
ミツキ「うにゅ〜・・・実際に放ったTちゃんすらも気絶しそうになったそうわぅし。」
ティエラ「つまり変人という事でしょうか。」
ミツキ「んにゃ、Tちゃんは元から変態わぅ!」
ミスターT「はぁ・・・。」
    ミツキのボケにティエラとエシェムFが爆笑する。2人とも生粋のお嬢様なのに、今では
   普通の女性そのものだわ。いや、先も挙げたがこれが本来の姿なのだろうな。人は環境に支配
   され易いと言うが、この2人を見ればそれが痛感できる。
デュリシラ「それでも現状は前途多難状態なんですけどね。」
ミツキ「うむぬ。こちらがありとあらゆる戦術や戦略を展開しても、それ以上の様相で攻めて来る
    わぅし。まあ絶対悪や諸々の兵器を無力化できるのが幸いだけど。」
ミスターT「通常戦力だと拮抗している状態だからな。連中は起死回生の一撃を狙っているだろう。
      ミツキが言う絶対悪を用いれば容易いが、俺達には一切通用しないしな。」
デュリシラ「そうなれば、残りは総力戦という事になりますね。」
   ブラインドタッチで調査を続けながら語るデュリシラ。攻めて来るなら四六時中引っ切り無し
   に襲撃してくるだろう。それをしないところを見ると、まだまだ兵力が足りない証拠だな。
   ただ機械兵器以外に人工生命体も投入するとなると、相当な激闘になりそうである。

    今もDJブースの近くで鎮座している4人の人工生命体。強烈な念波を受けて気絶はしたの
   だが、それ以降は全く反応がない。生きている事は確かだが、生物に必要な外部からの力の
   摂取すらしないのだ。いや、恐らく今も眠っている感じなのだろうな。

ミスターT「キーパーソンはあの4人か。」
デュリシラ「ウンともスンとも言わないですし。ただ確実に言えるのは、今も生きているという事
      でしょうか。思われた通り、今は眠っている感じだと思います。」
ミスターT「本当に摩訶不思議な感じだわ。」
    今では胸中の思いを見透かされるのは日常茶飯事だが、それだけ意思の疎通が取れている
   証拠である。つまりそれこそが念話という事になるだろう。不思議な話だが、遠回りしての
   回帰先という事になるわな。
ミツキ「ウンともスンとも言わねぇです。」
ティエラ「無線封鎖して行方をくらます気だね。」
エシェムF「ママ、ゴリアテの方が足が速いよどうするの?」
ミツキ「あたしらは奴の風上にいるんだ。貿易風を使って・・・これはね、東洋の計算機だよ。」
ミスターT「それ、ラピュタのドーラ一家・・・。」
デュリシラ「アッハッハッ!」
   デュリシラが言った“ウンともスンとも言わない”という語句からの派生だ。名作アニメの
   “天空の城ラピュタ”はドーラ一家の会話の一コマである。それを見事に再現してみせた。

    ミツキはマンガやアニメに非常に良く精通しており、デュリシラも生粋のゲーマーからその
   流れに至っている。当然ナツミAも四天王もしかり。そしてティエラとエシェムFもお嬢様
   らしからぬマンガとアニメの知識が豊富で、ミツキが言ったネタに即座に反応を示したのだ。

    ネタを始めた直後から呆気に取られるデュリシラだが、最後の俺の言葉で大爆笑しだした。
   よくぞまあ次から次へとネタが出るものだわ。本当に感心してしまう。

ミスターT「まあ何だ、今は待つしかないわな。」
デュリシラ「その時が来るまで、静かに牙を研ぎ澄ませておきましょうかね。」
    一服しながら呟いた。今は完全に後手に回っている状態だ。相手の出方が分からない以上、
   下手に動くのは得策ではない。最大限の脅威となる絶対悪やその他の脅威兵器の兆しのみ、
   重点的に警視していけば良いだろう。直ぐに無力化できるようにしておけば安心だ。

    何だか完全に国家以上の役割を担っている気がしてならない。連中の世界規模での行動を
   警視している事から、もはや警護者の枠を超越している感じになる。しかし今はこの大役を
   担わなければならない、それだけの事である。

    ならば徹底的にその役割を演じ切り、己が生き様を貫き続けるのみだ。それができるのも
   今の俺達に他ならない。とんでもない所まで至ったものだが、それも全ては世上の安寧を勝ち
   取る戦いに帰結する。それに少しでも貢献できるなら、俺達の存在は決して無駄ではない。

    中半へと続く。

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