アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝8
〜覆面の探索者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝8 〜覆面の探索者〜
    〜第2部・第2話 私利私欲の罠4〜
ジェイニー「念話って凄いですよね。今では新大陸にいる皆様全員に伝わっています。ペンダントを
      持たねばダメだと伺っていましたが、デュヴィジェ様方が貴方を媒体として指定人物に
      通話ができるようにしたとの事です。」
ミスターT「彼女の応用力は5大宇宙種族で最強だからな。ヘシュナさんもそれなりにあるが、到底
      敵うレベルじゃない。それに、黒いモヤ事変時は単独で黒いモヤ本体を監視してくれて
      いた。」
アクリス「イザリア様方の女王様ですからね。その実力があってもおかしくありません。」
    本当にそう思う。デュヴィジェの応用力は半端じゃないレベルだ。この場合、5大宇宙種族
   の技術者とも言えるのだろうな。

    そもそも、宇宙種族のテクノロジーは、既に失われた力を使っているに過ぎない。それを
   解析して発展させているのだ。彼女の実力は逸脱している、そう言うしかなかった。

    その一族たる存在が、イザリア・イザデラ・イザネアの三姉妹となる。魔王・大魔王・魔女
   と言われるようになるのも十分肯ける。

ジェイニー「それに、ここからが本題なのですが、貴方との念話で内情が全て伝わって来ています。
      リューヴィスの女性陣を救った厚意は、そこにミツキT様の逝去時をダブらせたからと
      知りました。」
ミスターT「あー・・・全て筒抜けという事か・・・。それでも、あの思いは絶対に知って欲しく
      ない。俺の目が黒いうちは、この生き様を貫き通していく。」
アクリス「だからですか、先刻の王城周辺への一念は・・・。」
ミスターT「・・・そうだな。」
    今挙げた執念と信念が根幹とするなら、王城周辺への対応は実に矛盾している。しかし、
   相手が何をしたのかという概念があるのなら、手を差し伸べるか差し伸べないかの差が出て
   くる。実に屁理屈的な解釈だが、実際に行った行動に罪がある場合は消えないのだから。
テューシャ「はぁ・・・皆様方がヤキモキされるのを、再度痛感しましたよ。でも、そうして己自身
      に問い詰めていかねば、道を踏み外す可能性も出てきますからね。全部が全部、間違い
      だとは思いません。ですが、程々になさって下さい。」
ミスターT「ぜ・・善処します・・・。」
   今までにない凄みの表情で見つめてくる彼女。エリシェやラフィナに匹敵する恐々しさだ。
   それでも、こちらを思ってくれている事には変わりない。そんな彼女の頭を優しく撫でた。
   それに顔を赤くするも、仕方がないと言った雰囲気で溜め息を付いている。

サラ「うーん、確かに自身との対峙が多いですよね。本当に大丈夫です?」
ミスターT「上辺の右往左往は何時も通りだが、根幹は微動だにもしていない。大丈夫よ。」
セラ「迷惑を掛けるのは、私達だけに留めておいて下さいな。」
    周辺の簡単な探索を終えた双子が語る。確かに、自分でも気付くぐらいに自己嫌悪が多い。
   それだけ、ストレスやら何やらが溜まっている証拠だろう。幸いにも、周りの美女達の美貌を
   チラ見するだけで癒されるが・・・。
キャイス「今、如何わしい事を思われましたよね・・・。」
ダリネム「私も感じました・・・。」
ミスターT「だー・・・野郎の性だから勘弁してくれ・・・。」
アーシスト「へぇ・・・野郎の性・・・。」
   俺以外全員が女性とあり、異性の一念に即座に反応を示す面々。リューヴィス女傑陣にも反応
   されており、全員して凄まじい目線で睨んでくる。流石に怖過ぎる・・・。

    それでも、リューヴィス女傑陣がここまで回復してくれた事には安堵している。初対面時の
   様相からして、相当のトラウマが残っていると思われた。しかし、実際の回復力は相当なもの
   であった。これはトラガンチームの女性陣より遥かに強い。

    彼女達の笑顔を勝ち取る戦いが、この新大陸での活動だ。今後も奮起せねばならないわ。


フューリス「それにしても・・・かなりの古さですね。」
ルマリネ「一見すると、灯台の感じがしますけど。」
ミスターT「ゲーム関連なら、何らかのお宝とかが眠っていたり、ボスが待ち構えていたりするの
      だがね。」
    古びた塔の周辺を探索する一同。ルマリネが語る通り、灯台の可能性もある。しかし、この
   未踏査の新大陸に灯台は不可解過ぎる。新大陸自体に人が住んだ痕跡があれば別だが、それが
   一切ないのだ。
サラ「イザリア様方も知らないとの事なのですよね。」
ミスターT「・・・となると、魔物が作ったという事か。」
セラ「十中八九、そう考えるのが無難かと。目的は分かりませんけど。」
   この手のミステリーは、ファンタジー世界観に詳しい双子の独壇場だろう。全て推理になるの
   だが、それが見事に当てはまる場合もある。ファンタジー要素は、不可解な要因を孕んでいる
   のだから。
エメリナ「とりあえず、目立ったものはなさそうですね。」
テューシャ「魔力に反応してくるものはありませんし。」
アクリス「魔物の反応もないのも気になりますけどね。」
ミスターT「うーむ・・・今は保留かな。」
   喫緊の問題とならないのなら、今は放置しておいて問題ないだろう。それに、目玉は新都市群
   の確立だ。ここから向こうへは50km以上はある。

サラ「ここは、登って確かめてみます?」
ミスターT「・・・絶対に遠慮する・・・。」
セラ「アハハッ、相変わらずですねぇ。」
    態とらしく尋ねてくる姿に、悪魔的な一念を感じずにはいられない。ニヤケ顔で茶化して
   来るため、その2人を捕まえて頭を捏ね繰り返した。直ぐに悲鳴を挙げて降参する双子。

    その姿を見た女性陣は、呆れつつも笑っている。だが、何処か悲しげである。サラとセラ
   とは地球出身なため、その差であろうか。気にするものでもないのにな。

    それでも、リューヴィス女傑陣が笑う姿には、本当に心が癒される。苦節を知っているから
   こその笑顔だ。トラガンチームの女性陣も、それを感じ取っているようだ。


    塔周辺の探索を終えて、次は遺跡周辺の探索を行った。こちらも不可解なもので、未踏査の
   新大陸には有り得ないものだ。塔とセットで建築されたと取れるが、誰が作ったのかは全く
   不明である。

    そして思った、この周辺には魔物の痕跡が一切ないのだ。足跡や遺骨などの痕跡すらない。
   それから推測すると、塔や遺跡は魔物を寄せ付けない力が働いていると取れるかも知れない。

エメリナ「・・・その場合だと、魔力など何らかの反応がある、ですか。」
ミスターT「・・・はぁ、心中読みどうも・・・。」
    今正に思っていた事を彼女に言われた。内情を見透かされ、それを挙げられた感じである。
   それに周りの女性陣はニヤニヤしながら見つめてくる。
メラエア「念話を行う事により、心中の思いがダダ洩れになるというのは、正にこの事ですね。」
ミスターT「その嬉しそうな表情やめれ・・・。」
ファイサ「まだまだ甘い証拠ですよ。」
   この美丈夫達は・・・。ただ、サラとセラ達地球組は、内情を察知するのに遅れを取っている
   感じか。となると、彼女達との異なる点は1つしかない。
アーシスト「魔力や魔法の概念がある者、ですね。」
ミスターT「・・・寝ても良いでしょうか?」
   本当に見事としか言い様がない。どうやら異世界組は、念話を使う事で魔力が増加していると
   思われる。それにより、念話の感度が上がっているとも取れる。念話を使わずとも関知する
   事ができるのは、この概念があるからだと思われる。
サラ「本当に羨ましいですよ。私達やマスターは、魔力や魔法の概念が全く理解できていません。
   使う事すらできませんし。」
セラ「念話や各能力も、5大宇宙種族がテクノロジーの恩恵ですからね。地球人の素体能力は、何も
   ないですから。」
ミスターT「確かにそうだな。」
   2人が羨むのも無理はない。俺すらも羨ましいと思うぐらいである。地球組の人間は、何も
   特殊な能力がないのだから。あったとしても、限定的なものでしかない。

    その時、ふと脳裏を過ぎった。王城側の言動が、俺達を煽動しようとしている流れが、もし
   人為的であった場合だ。あの餓鬼と畜生の如き行動も、全てこちらを挑発させる行為なら、
   全て向こうの筋書き通りという事になる。

    後半1へと続く。

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